内観をめぐるはなし– category –
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第 10 回:内観療法における夢
内観療法、とりわけ集中内観療法が備えている治療構造には、独特なものがある。カウンセリングを続けてきたクライエントに集中内観療法を導入することは、内観に精通した心理療法家であれば何も珍しいことではない。 カウンセリングなど他の心理療法の場合... -
第 9 回:ふるさとの山
母校の佐敷中学校が創立五〇周年を迎えるというので記念誌への寄稿依頼があった。 そこで、執筆に先立って、内観で教わったように、書斎で閉じ籠もって過ぎ去った時を思い出すことから始めてみた。すると、最初に浮かんだのはふるさとの山であった。 校歌... -
第 8 回:「面接者」考
久し振りにふるさとを訪ねたときのことである。子どものころ野球を楽しんだ広場がなつかしくて立ち寄ってみた。 「ずいぶん狭くなったなあ」原っぱの球場を見てそう思った。原っぱが狭くなったわけではなく、そう見えたのである。 それは、大人になって、... -
第 7 回:中国の「森田と内観」
どのような数え方をしているのであろうか、心理療法の種類を示した本には、世界で生まれたその種類は一五〇だというものもあれば、二五〇であると紹介する論文もある(二〇〇八年の現在は四百)。数え方によってそれだけ大きな違いがあるというのもそれこ... -
第 6 回:「あふれる愛」と内観
わたしたちは与えるから受けゆるすからゆるされ自分を捨てて死に永遠の命をいただくのですからマザー・テレサ ちょうどひと月前の九月六日、マザー・テレサの逝去が新聞に報じられた。 その少し前に、立ち寄った小さな書店で偶然にも表題の傍点を付した本... -
第 5 回:「モモの会」と内観
本誌のお知らせのページには、全国各地で産声をあげた内観のサークルやフォーラム(集い)が、毎号のように紹介され、その活動はますます盛んになっていくように思われる。 「モモの会」もまた、愛知県の春日井市に誕生したサークルではあるが、しかし、内... -
第 4 回:内観と新聞記事
適応例 数年前、中国の上海第二医科大学の王祖承教授(精神医学)が来日したときのことである。王教授と高弟の方医師を、大阪内観研修所の榛木氏と大和郡山にある内観研修所へ案内する車中での会話が印象に残った。 お二人とも内観を中国に導入しようと熱... -
第 3 回:心の癒しと内観の意義
ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく石川啄木 身体が疲れたとき、休息が必要になる。 必ずしも温泉でなくとも、その時、適温の風呂などが用意されていれば、疲労の回復もいっそう促進されようし、十分な睡眠がもたらす回復効果は、誰... -
第 2 回:内観と吉本伊信 2
前号では、読み切ってもらう「内観のはなし」にならず、読者にはメインディッシュを出し忘れたディナーのような読後感を味わわせてしまったようである。 親切な読者から「内観と吉本伊信のはなしはあれでおしまいなのですか?」という叱咤と激励の問い合わ... -
第 1 回:内観と吉本伊信
「内観を通して経験してきたことを、心理臨床の立場から、一般の読者向けにわかりやすく書いて欲しい」という編集委員会の要請を受けたのは夏の頃であった。 これまでの、内観臨床の経験を整理してみるよい機会になるかも知れない、という思いもあって応諾...
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