アルコール依存症について

 この病と私のつきあいは長い。かつて24年間の病院臨床を通して、アルコール依存症者と関わってきたが今でも愛知県春日井断酒会の顧問を引き受けている。これについて書き出すと紙面がいくらあっても足りないくらいであるが、ここには豆知識だけを記載しておく。

@世の中に大酒飲みは多いにもかかわらず、この病は本人よりも家族や周囲の人が困って相談に来ることが多いのである。 周囲がいくらたしなめても効果はないどころか逆効果になることが少なくない。ここには中村希明氏が紹介しているジョンス・ホピキンス大学のアル中自己診断法カードを紹介しておく。自己チェックの参考にしてもらえればと思う。(新・アルコール症読本・講談社より)
 
1、酒を飲んで仕事をサボることがある。
2、飲んで家庭に波風が立つことがある。
3、飲んで人から不評をかう。
4、飲んだ後で深く後悔する。
5、毎日、同じ時間に飲みたくなる。
6、飲まないと眠れない。
7、翌朝また飲みたくなる。
8、外で一人でも飲む。
9、飲むと家庭のことに無関心になる。
10、酒のため経済的危機に陥ったことがある。
11、怖じ気を除くために飲む。
12、自信を付けるために飲む。
13、不安から逃れるために飲む。
14、飲むと友人を見下したくなる。
15、飲むと仕事の能率がひどく下がる。
16、飲むと向上心がなくなってしまう。
17、飲んで完全に気を失ってしまったことがある。
18、飲んで仕事上のミスをしたことがある。
19、飲んで医者にかかったことがある。
20、酒のために病院へ入院したことがある。

 各項目に当てはまる所に○を付けて貰うわけであるが、4から6つの○がついたらあなたは立派なアルコール依存症です。あなたは大丈夫でしょうか?本人が否定した場合でも家族からみてどうでしょうか?不安な方は専門医を受診してみてください。医者へ行くのに抵抗がある方は当研修所に相談くださっても構いません。来所の際は、あらかじめ電話で予約した上で、できるだけ家族同伴でお越しください。

A家族同伴には訳がある
 
 多くの場合、本人の酒害に家族も巻き込まれている。そこで、まず家族の回復が必要だからである。詳しくは専門書(たとえば、斉藤学氏の著作が分かりやすく参考になろう)家族に対しての助言をいくつか思い付くまま挙げておこう。

・本人の飲酒を止めさせるために、なだめたり、脅したり、懇願したりはしない。

・そこで、本人を監視したり、干渉的になってはいけない。

・さらに、これは非常に大切なことであるが、本人の不始末を家族が代わって引き受けないこと、つまり、冷たいように感じるかも知れないが、責任は本人にとらせる。

・言ったことは実行するし、できないことは言わない。

・本人の暴力に屈してはいけない。必要ならば、近所の協力や警察に助けを求める、など。

 以上、アルコール依存症についての家族の対処などの豆知識を述べたが、これは、摂食障害、ギャンブル依存症、薬物依存症、買い物依存症、異性依存症など、嗜癖と呼ばれる問題行動についてもある程度共通したことが言える。